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2003年1月22日 ◆ 「インチキ二面打ち」 −フリー対局−
ハッピー・マンデー囲碁教室に、将来すごく有望な女流棋士がいる。Sさんと言う美人。
打ち始めてまだ間もないらしく、先日まで十三路盤を打っていた。その十三路盤の石の並びを見ると、とにかく美しい。初心者の対局というのは往々にして「右が黒地、左が白地」なんていう囲い合いの碁になることが多いんだけど、彼女たちの盤面は石が入り組んだ、すごく「囲碁らしいカタチ」をしていた。
私の経験で言えば、入り組んだ石のカタチを実現できるようになったのは、十九路盤を打ち始めて3週間くらいしてから。あまりのカタチの美しさに「アナタたちは、もう十九路盤を打った方が良いですよ」なんてアドバイス。先生も連れてきて「ねぇ、彼女たちの盤面、美しいでしょ? 十九路に移った方が良いでしょう?」と強引に推薦。それで十九路盤を打ち始めたんだけど、はじめての対局でもやはり美しい石のカタチを残していた。凄いな。
そのSさん。教室でひとりで本を見ながら石を並べていた。勉強の邪魔をしちゃ悪いかなと思いつつ「私の弟子と打ってみますか?」と。経験の差があるので、Sさんに三子置いてもらって対局をしてもらった。
弟子は初めての三子局にやや緊張していたようだけど、なんとか経験の差で勝利。終了後は偉そうに(笑)指導をしていた。うん、でも弟子もやはりSさんの石運びの綺麗さを感じたようだった。最初からこういうふうに綺麗な流れで石が打てる人というのは成長も早いに違いない。勉強もすごくしているようで、別の人との対局のときには「ここ、ウッテガエシになっちゃうんですよね」なんて言っていた。私など、今でも気付かないうちにウッテガエシされちゃうことがあると言うのに(笑)。
注:弟子からクレームが入った。弟子は三子で打った経験は既にあったらしい。ごめん>弟子。
そのSさん。私のエラソーな態度に遠慮してか、私のことを「センセー」などと呼ぶ(笑)。「いや、私はセンセーじゃないですけどね」と言っても、他のアシスタントの方にも「先ほどあのセンセーに教えてもらって」なんて言っている。アシスタントの方々に「前田さん、嘘教えちゃだめですよ」と叱られるんじゃないかと思いつつ、才能がありそうで、頑張っている人に「センセー」と呼ばれるのがちょっと嬉しかったりもするわけだ(笑)。
弟子は。最近また急速に地力を上げた私との二子対局で「なんだかわからないうちに負ける」という碁が続き、ちょっと自信をなくしていたかもしれない。でも今日は何局か打って全て勝利だった様子。そう、弟子よ、君も強くなっているのだ。私が昔のような嵌め手めいた手を打たなくなったから、なぜ負けるのかがわかりにくくなっているかもしれないと思う。でも嵌め手にやられてしまうよりも、普通の手に対する応手を研究した方が絶対に強くなると思うからね>弟子。
で、私の話。今日は久しぶりに二人の方と互先で対戦、いずれも私が黒を持ち、例によって中国流。入ってきた石を完膚なきまでに殺していずれも中押し。うん、私くらいの棋力の人が相手だと、中国流とはすなわち嵌め手かもしれない(笑)。中国流も、三連星ほどではないけれど、勢力の碁。相手にとってみれば「うわぁ、この黒の地模様を消さないと大変なことになる」というプレッシャーになる。
そこで黒の模様に入り込んで戦うことになるわけだけれど、中国流は純粋な勢力碁ではなく、一応地も考慮に入れている打ち方。消しにきた白を苛め抜いているうちに黒地は拡大し、そしてときに白の大石を殺す。ここ数日私と対局する人は皆、この「広大に見える地模様」にびっくりして自滅していった感じだ(笑)。
あとは例によって偉そうな指導碁をしたりしているうちに、攻撃好きなS嬢(上述のSさんとは別人)と、もうすこし棋力のおちるS嬢(あれ、みんなイニシャルがSだな)と二面打ち(いずれも白番。一局は二子局)をすることになった。
二面打ちは一度だけやったことがある。しかしこれ、実際にやってみると思いのほか難しい。序盤はまだどうにかなるが、戦いに入ると相手のダメの数など数えていられなくなる。だから「ふぃーりんぐ」でタタカイを挑むことになってしまう(笑)。
さらに。終盤になってヨセになると、先手ヨセがよくわからなくなる(苦笑)。落ち着いて考えればわかりそうなもんだけれど、どうもまだ私の棋力では足りないみたい。
だから二面打ちなど本当はやりたくない。いや、やってみるのは面白いと思うけれど、対局相手に迷惑をかけるのが明白なのであまりやりたくないのだ。
でも今日は相手の希望、というか要求。それならば二面で打たねばなるまい。対局中に後ろから眺めるアシスタントの方に「いや、ぼく、いま、偉そうなことやってますけれど、これは決して私が言い出したことではなく…」なんておろおろと言い訳しながらの対局。教室名物(?)の女子高生二人組が「あ、二面打ちだ。さすがー」なんて言うもんだから余計におろおろした(笑)。
結果的に。やはり途中でダメが数えられなくて「テキトー」にタタカイに行ってしまったり、片方の対局者とヨセに入ると一方の対局者にしばらく待ってもらったりしながら打ち切った。一応いずれも勝利。強いほうの相手とは盤面で1目差だった。ヨセをかなり間違えて差が縮まった感じ。もう一人は、まだ石の連絡や死活に自信がなく、不必要に固く守ろうとする傾向がある。そこでどうしても彼女の手が遅れてしまうのでそこをついていっての勝利。どういう状態になれば石が繋がるのか、生きるのかということをちょっと勉強すれば強くなると思うよ。
なんだかやけにたくさん対局した日で、ハイになってしまって帰る道すがらも弟子に向かって「ねえねえ、俺、強くなったね。すごく強くなったさ」なんて、弟子の深層心理に深く刻みつけておいた。近々弟子が棋力で私を抜いても、当分私には勝てないようになったはずだ。。。
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